お気に入りの食器を長く美しく。日常で気をつけたい「扱い方」の基本

手に取るたびに、使うたびに、心が満たされるような「お気に入りの食器」。

食卓を彩り、日々の暮らしに豊かさをもたらしてくれる、まさに「見惚れる」存在です。

そんな大切な食器だからこそ、一日でも長く、その美しさを保ったまま使い続けたい、と誰もが願うはずです。

しかし、日常のほんの少しの不注意や知らず知らずのうちの習慣によって、気づかぬうちに食器を傷つけたり、最悪の場合は割れや欠けに繋がったりすることがあります。

この記事では、あなたの大切な食器を不意のダメージから守り、長く愛用していくための「日常的な扱い方の基本」を解説します。

難しいことではありません。少し意識を変えるだけで食器との付き合い方はぐっと良くなります。

心構え：大切な食器を丁寧に扱うということ

まず、最も大切なのは、食器を扱う際の基本的な心構えです。

常に「丁寧さ」を意識する

すべての動作をほんの少しだけゆっくり、丁寧に行うことを心がけるだけで、破損のリスクは格段に減少します。

「急がない」「ながら動作」をしない

時間に追われていたり他のことをしながら食器を扱ったりすると、注意力が散漫になり、思わぬ事故につながりやすくなります。

特にブランド食器を扱うときは、その動作に集中しましょう。

素材への意識を少しだけ持つ

完璧に覚える必要はありませんが、例えば「陶器は磁器よりも柔らかく、欠けやすい傾向がある」といった素材の特性を少しだけ知っておくと、より丁寧な扱いにつながることがあります。

【シーン別】毎日の「扱い方」５つの基本ポイント

それでは、日常の具体的なシーン別に、気をつけるべきポイントを見ていきましょう。

1.食器を「運ぶ」とき

安定した持ち方をする

プレート類は縁を持つだけでなく、必ず底面にも手を添えて安定させます。カップ類はハンドルだけに頼らず、本体やソーサーも一緒にしっかりと持ちましょう。

一度にたくさん運ばない

食器を一度にたくさん運ぶと、落としたりぶつけたりするリスクが高まります。特に滑りやすいガラス製品などは注意が必要です。面倒でも複数回に分けて運ぶ方が安全です。

2.テーブルに「置く」とき

衝撃を与えない

テーブルに勢いよく置くのは厳禁です。食器とテーブルが触れる最後の瞬間まで意識して「そっと」置く習慣をつけましょう。音を立てないように置くのが目安です。

安定した場所に

ぐらついたテーブルや端すぎる場所は避け、安定した平らな場所に置くようにします。

3.食事中に「使う」とき

カトラリーは優しく

ナイフやフォーク、スプーンなどを食器に強く当てたり、ガリガリとこすりつけたりするのは避けましょう。特に硬い素材のカトラリーや先端が鋭利なものは、表面に傷をつける原因となります。

メタルマークについて

柔らかい金属製のカトラリー（特に安価なものの一部など）を強くこすりつけると、食器の表面に鉛筆で書いたような黒っぽい線（メタルマーク）が付くことがあります。

これは食器自体の傷ではありませんが、見た目が良くありません。気になる場合は専用のクリーナーなどで落とせることもあります。まずは強くこすらないことが予防策です。

4.洗う前後の「移動・仮置き」

シンク内での衝突注意

食器を洗う際、シンクの中で他の硬い食器や蛇口にぶつけてしまうことがあります。洗い桶（プラスチック製など）を使用するとこのリスクを軽減できます。

水切りかごでの安定性

洗った食器を水切りかごに置く際も注意が必要です。不安定な重ね方をしたり、重いものを軽いものの上に乗せたりしないようにしましょう。

5.食器棚へ「しまう・出す」とき（日常的な出し入れ）

基本的な重ね方のルール

• 同じ形・サイズのものを重ねるのが基本です。
• 重ねる際は、間に薄い布やペーパーナプキンなどを挟むと、擦れによる傷を防げます。
• 高く積み重ねすぎると、不安定になり、下の食器に負担がかかります。適度な高さに留めましょう。

無理に押し込まない

食器棚のスペースに余裕がない場合でも、無理に押し込むのはやめましょう。出し入れの際に他の食器とぶつかり、欠けの原因となります。（※食器の詳しい収納方法については、今後別記事で詳しくご紹介する予定です）

【要注意】食器を傷める２大リスクと対策

日常の中で特に注意したい、破損に繋がりやすい2つの要因とその対策です。

1.急激な温度変化（ヒートショック）

温度変化の原因

陶磁器は急激な温度変化に弱い性質があります。

例えば、「熱い料理を載せたプレートをすぐに冷水で洗う」「冷蔵庫で冷やしたグラスに熱湯を注ぐ」「冷凍した器をいきなりオーブンに入れる」といった行為は、

目に見えないレベルでのダメージや、最悪の場合ヒビ割れの原因となります。

温度変化の対策

熱いものは少し冷ましてから洗う、冷たいものにはぬるま湯をかけるなど、温度差を緩やかにすることを心がけましょう。

オーブンや電子レンジ使用可の表示がある食器でも、急激な温度変化には注意が必要です。

2.表面の「傷」

傷の原因

• 洗浄時: 硬いスポンジやタワシ、研磨剤入りのクレンザーの使用。（※基本の洗い方記事参照）
• 重ねた時の擦れ: 釉薬のかかっていない高台（底）部分が、上の食器の表面を傷つけることがあります。
• テーブル上での引きずり: 食器の底面とテーブルの間で砂などが挟まると、両方に傷がつくことがあります。
• カトラリー: 前述の通り、硬いカトラリーで強くこすること。

傷への対策

• 柔らかいスポンジと中性洗剤で洗う。
• 重ねる際は緩衝材を挟む。
• 食器を引きずらず、持ち上げて移動させる。
• ランチョンマットやテーブルクロスを使用する。
• カトラリーを優しく使う。

まとめ

お気に入りの食器を、いつまでも長く、美しく使い続ける秘訣は、日々のちょっとした「丁寧な扱い」にあります。

今回ご紹介したポイントは、決して難しいことではありません。一つ一つの動作を少しだけ意識することで、大切な食器を傷や破損から守ることができます。

食器を丁寧に扱うことは、モノを大切にする心、そして日々の食卓を豊かにすることにも繋がります。

ぜひ、今日から一つでも実践して、お気に入りの食器たちをもっと愛でてあげてください。